三重県は熊野市の紀州鉱山では、随所随所に軌道が張り巡らされており多くの架空線式電機機関車や蓄電池機関車といったマイニングロコが活躍していました。現在でも軌道の一部が保存され、蓄電池機関車牽引の人車に乗ることができる人気スポットとなっています。今回はそんな紀州鉱山の保存機関車たちを紹介します。

①No.610 1941(昭和16)年日立製作所製6トン機(製番4061)軌間610mm
戦前製の架空線式電機機関車。鉱石輸送や人車牽引の主力として1978(昭和53)年の閉山まで活躍した。紀州鉱山では12両の架空線式電機機関車が使用されたが現存するのはこのNo.610と個人所有で非公開のNo.606のみである。紀和鉱山資料館屋外にて保存展示。
紀州610
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②No.414 日本輸送機製4トン機 軌間610mm
日本輸送機初期のものと思われる蓄電池機関車。現在、湯ノ口温泉~瀞流荘間で運行されている観光用トロッコ電車の主力機で1日6往復の人車列車を牽引している。1955(昭和30)年に閉山した薬師炭山(紀和炭礦?)から移籍した機関車で、紀州鉱山ではズリ捨て線等の地上線区で活躍した。製造年や製番などの詳細は不明であるがそのゴツイ台枠などからかなり古い車両であると思われる。
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③No.415 1965(昭和40)年日本輸送機製4トン機(製番3523001)軌間610mm
こちらも地上線区で使用された4トン蓄電池機関車。前述の414とは同じ日本輸送機製の4トン機でも製造年に開きがあるため外見は大きく異なる。現在、紀和鉱山資料館の屋内で非常に良好な状態で保存されている。
紀州415
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④No.417 1969(昭和44)年日本輸送機製4トン機(製番3843002)軌間610mm
紀州鉱山で最後に導入された4トン蓄電池機関車。4トン機では唯一水平坑道で使用されていたという。この機は現在も現役で石原鉱産の排水処理等に使用されている。通常はトロッコ電車の瀞流荘駅横の二号隧道内に留置されており、柵があるためなかなか近くで拝むことのできない車両である。
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⑤No.229 日本輸送機製2トン機 軌間610mm
31両が在籍した2トン蓄電池機関車の1両。製造年や製番等の詳細は不明(昭和40年代製造?)で、1977(昭和52)年に中古で購入された車両とのことである。全国どこの鉱山にもいたキングオブ2トンバテロコである。他の2トン機と違い運転席の折畳み機能が無い。紀和鉱山資料館の屋内にてNo.415とともに保存されている。
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紀州229
⑥No.230 1971(昭和46)年日本輸送機製2トン機(製番3976001)軌間610mm
この車も1977(昭和52)年購入の中古機。立坑ゲージに載せるため運転席部が折り畳める様になっている。紀和鉱山資料館で屋外展示されており、銘板等残るが状態は少し悪い。
紀州230
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⑦No.231 1971(昭和46)年日本輸送機製2トン機(製番3976005)軌間610mm
観光トロッコ電車の予備機として動態保存されている2トン蓄電池機関車。こちらも229,230とともに購入された中古機で2トン機のラストナンバーである。全国に相当数いたこのタイプの2トン機も現存する殆どが静態であるため動態のこの車はかなり貴重である。
紀州231
⑦No.205 1943(昭和18)年日本輸送機製2トン機 軌間610mm 
こちらは愛知県の豊橋市地下資源館に保存されている自社発注の2トン機。ごく初期に製造された車両の特徴であるニチユのエンブレムが台枠に彫刻されている。エンブレム付きの初期車で公に保存されているものはこの他に佐渡金山の1両しかないと思われるので貴重な存在である。
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